だいたいうろ覚え

物忘れが激しくなってきたので備忘録

殺人ダイヤルを捜せ 島田荘司

綾子は商社の電話交換手である。夜の退屈しのぎに女友達からそそのかされて、テレフォン・セックスを始めた。そしてある夜、ダイヤルをまわしたとたん、耳に入ったその声!綾子がその番号の持ち主を知ったとたん、事態は驚愕の方向へ。鬼才が都市の恐怖、人間の弱点を衝撃的に描いたサスペンス秀作。

 

わたしの初読が2015ですって。当時の感想は「スマホ世代にこのトリックは無理や…」でした。それはそう。当時は、時代色が強いなあ…と評価が高くなかったが、今読んだら面白かった。主人公に愛着が持てるかどうかが鍵かなとおもう。わりとよくいるタイプと言えばそうなのだが、読むときのコンディションによって印象が変わりそうなキャラだ。

主人公である綾子はあまり頭も良くなく、計画立てているつもりで行き当たりばったりの行動が多い。初読当時のわたしはきっとイライラしたことだろう。その綾子が、良くない(が、狡猾な)人物に騙されていくのだから、フラストレーションが溜まっていく。でも今の私は広い心を持っているのかなんなのかわからないが、綾子に対してそこまでマイナスな印象をもつこともなく一気に読んでしまった。もちろん歯痒さみたいなものはあるが……。恋愛経験がさしてあるわけでもないのに「私ならあの人を誑かせる」なんて思い込んで突き進むのなんてなんか…憎めないじゃないですか。話自体も、トリックを暴いてやろうみたいな気持ちよりは、一緒にゾワゾワドキドキ感を楽しむものかなと思った。

島田荘司好きが読んで「ン!?」ってなるのはめちゃくちゃわかる。違う楽しみ方をする作品な気はする