だいたいうろ覚え

物忘れが激しくなってきたので備忘録

テムとゴミの声 感想

3/1マチソワ観劇。1作目を見ていないので、分からないこともあるんだろうなあと思いながら着席。

開演前になにやらステージに人影が…?となるものの、とくに触れることもなく、なんだったのかは良く分からなかった(笑)ゲーム画面で言うところのNow loading的な??

物語本編は人間とおもちゃの世界を繋ぐ"キナグサミ"から始まる。序盤は1作目のあらすじを説明してくれているのかな?世界観の説明やテムのおもちゃたち(レペノマムスサーカス団)の簡単な説明がなされる。おもちゃたちはテムのために人間界へと旅立つのだが……。

バラバラに人間界へと着いてしまったおもちゃたちがそれぞれ人間と交流をする様子、そしてテムと清掃員たちのお話…とストーリーラインが多く、良く詰め込んだな!という印象だった。だけど大きなテーマは決別、とりわけモノに宿る思い出の話という主軸はハッキリしているので、そこまでとっ散らかった感じはしなかった。「テムとゴミの声」というタイトルではあるけれど、このタイトルから想像しがちな「ゴミを減らそう」「ゴミはきちんと分別しよう」「ポイ捨てをやめよう」みたいなメッセージ性はあまりメインじゃない気もする。もちろん作中で言われていないわけではないけれど…比較的言葉で説明されることが多かったから、豆知識を教えてもらいました感に留まったのかな。2037年ですと強調するわりにおくすりシートのリサイクルプログラムは現代の話だし…と少し混乱。

特に印象深かったのは性的指向の多様性。ミミや若松さんは分かりやすく…という感じだけれど、"キットくん"がとりわけよかった。吉田(知)さん、よくお芝居みるけどこんな可愛い役初めて見た!とても似合っている。作中で明言されているわけじゃないけど、彼女はおそらくトランスジェンダーヘテロ。すごく可愛く演じられているからこそ、背中のねじまきが回されたとき、身体の性別である男性性が出てしまうのがとてもグロテスクに感じられた。人間でトランスジェンダーの心身の分離を表現するよりも際立っていて、おもちゃで表現することの意味があるんじゃなかろうか。トランスジェンダーのわかりにくさって、心に性別があることだと思う。おもちゃたちは外側が量産されていて、完全に身体と心を分けて描写されているから、そのあたりがわかりやすく感じられたのかな。若松さんは対物性愛者で、初音ミクと結婚した人が昔話題になってたから用語としてはなんとなく知ってるやつ。テムが聞いてるソフィアの声はなかなかに口が悪いから、きっと「若様すごーい。天才かっこいーーー」って音声出してる時も内心口悪く言ってるんだろうなと思うと面白い。人感センサーついてるぽい動作とかも見てて面白かった。

あと、こうちゃんとねこちゃんのシーンも良いなと思った。ダンチョが「お別れ」を意識するシーンなんだけど…猫の死骸を捨てられないのはきっと思い出が詰まってるからで、それはおもちゃを捨てられない(ちゃんとお別れできない)ことと同じだ。作中では終始このようにモノ(=おもちゃ)と生き物の身体を同じとみなされているのが興味深かった。

最後、人間界に来てしまったレペノマムスのみんなの魂的なモノは消えてしまって、本体だけがオリベルに受け渡されると言う感じなのかな?だとすると悲しい結末だなあ…。序盤で「メルカリで売ってもいいのに」みたいなセリフをおもちゃ側が言ってたと思うんだけど、おもちゃ的にそれはありなんだ!?ゴミに出す、ってのと家で放置される、というのは人間にとっては全然違う意味だけど、おもちゃたちにとっては同じ意味なのかもしれないなあ……。ものに思い出が宿るからとしまいこみがちだけど、近藤昴のいうように形ある物にこだわる必要はないのかもしれない。資源になりうるのだから家に放置しておくこともエコじゃない、むしろちゃんとお別れする(=きちんと捨てる、譲渡する)ことがエコロジーにつながるのだというメッセージを感じました。道路に捨てられてるゴミたちは「お別れされてないゴミ」だから、分別して回収されることによってリユースとまでは行かずともなにかしらの資源になっていくのかな。。

個人的に1番好きなのはジュエルでした。序盤の「だれ?」の言い方とか、ドシ子に手を引かれるときちょっと嬉しそうにするところが可愛かった。

 

 

最後になりますが、プロデューサーの坂様をはじめ、関係者の皆様には是非とも作品への向き合い方をご一考していただきたく思います。せっかくの素敵な役者が揃い、稽古をして作り上げた作品だというのに、観客側が主催団体にモヤモヤした気持ちで観劇せざるを得ないなんて双方不幸しかありません。せめて少しでも多くの人がすっきりとした気持ちで公演を迎えられたら、と思い最低限事実と異なる告知は訂正するよう何度もお願いをしておりましたが、曰く「関係のないお客様もいるので」と残念ながらご対応いただけませんでした。(チケットや物販に関係のないお客様って誰なのでしょうか……)物販の価格の誤り、チケット発送済みと告知しながらも未発送、合意したはずの座席と違うチケットが送られてくる、など枚挙に暇がありませんが、二度と同じようなことが起こらないように祈っています。

「誠実に対応する気がないのが分かったので返信結構です」と返したら本当に返信こなくなったのは流石に笑いました(笑)