だいたいうろ覚え

物忘れが激しくなってきたので備忘録

遺作(男〆天魚) 感想 7/2追記

6/29初日!舞台「遺作」観て参りました。

オトテンさんの作品を見るのは去年の「地獄」に引き続き2回目。「地獄」も面白かったし今年はどんなのかなあとわくわく。一言で言うと「思ってたんと違う笑笑」でした(笑)結構コメディ強めでしたよね!あれ、違う?去年は題材が題材だけに「面白いけど笑っちゃダメだよなあ」とか「笑っちゃったけど劇場だったら周りの目気にして笑えないなあ」って思ってましたけど、今回は「いやこんなん笑わない方が無理」でした。今なら去年の言ってた「劇場で見て欲しかった」の意味がとてもよくわかるよ……。

劇場に入ってまずセットにびびりました。この日は最前列の上手だったんですよ、目の前に首吊り台があるじゃないですか。立派な梁だこと。去年「地獄」観てなかったらきっとすごく怖いお話なんだと思って震えて開幕まで過ごしたでしょうね。書けない劇作家が劇団員に詰め寄られて処刑されるんだろうな、やだーこわいこわい。

初っ端の芝居シーンが普通に面白い。いや、違うな、幸村さんの前説がすでにジワジワ面白くて、客席を笑う準備させてくれる。で、イギリスの芝居シーン。「これめちゃくちゃ面白そうな劇じゃん!」って思ってたら次の場面で酷評されてて悲しい。長戸さん脚長いなあ!!スーツありがてぇ……。フィルポッツめちゃくちゃかっこいいし、トンプソン警部めちゃくちゃかっこいいし、インド人たらこ咥えてるし(舌じゃないなとは思ってたけどもさあ)(「あれは…インド人!?」で演者一同が「インド人!?」ってなってるときたぶん観客も「インド人!?」ってなってたと思う)、靴キュッキュッうるさいし(次のシーンでちゃんと履き替えてたの細かくて好き)ボブがゴム手袋パチーン鳴らすタイミングも絶妙だし絶対この劇面白いんですよ!ねえマキさん!でも脚本はひどい!解散!

まあ、そんなことはおいておきまして。

いやぁ笑った笑った!不謹慎なギャグに弱いんだよ〜〜〜。もお〜最後!!なんで骨しゃべるの!!!??しっとりしかけた空気を全力で反動つけて殴り飛ばしてる感じ正直好き!てかタンゴめっちゃかっこいいし!!!!長戸さんスカートめっちゃ似合うのはやっぱり脚長いからなのかな!?マスオさんが絶妙に似てるときあってそれもすごく面白かったし強請るタラちゃんホント面白すぎて死ぬかと思った。宇野さん終始サイコパスぽくて堀川くんハマり役でしたね……。(「地獄」で見た平野さんの「はぅあ!」が好きだったから今回もあって嬉しい)平野さんが演じたキャラだと赤い服の少女が1番似合ってたと思います。

 

真面目な感想も書きます。

トンデモ劇で始まったこの作品は、脚本家が冒頭しか書き上げることができずに振り回される演者一同という状況で幕を上げる。ずーーっと冒頭のシーンの稽古やってたならあの面白さなの納得。イライラする客演者、ウジウジする劇団員。言いたいことは全部演出助手の高橋さんが言ってくれるからとってもすっきりする。高橋さん好きにならない人いないでしょう。あと兄さんみたいなポジションもいてくれたら最高だよなあ、よっ!小劇場界の潤滑油!そんなこんなで劇団員と客演者たちが手を取り合ってエチュードで尺を埋めようとするわけなのですが、当然うまくいくはずもなく。終始ギャグに全振りした今作かと思いきや、脚本があがらずに不満をファンに漏らしてしまう奇麗とか、それを庇う宇野さんとか、あるあるの状況だけどスッと切り込みを入れていく台詞もあったかのように思う。いやあ、いますよね、脚本の不満を配信で漏らしちゃう役者……。個人的にはそういう人たち苦手なのですが、だからこそ宇野さんの「脚本家が悪いですよ!」に少し驚きました。まあ確かに出演決めた時点では脚本遅いとか内容がつまらないとかわからないわけだしね……(シリーズもので文句垂れ流す役者はやっぱりわけわからんけど)でも、さっきTwitter見てたら「出演を承諾したなら多少は宣伝に協力して欲しい」っていうどこかの劇団主宰のツイートが回ってきて、まあ宣伝込みでの出演料だよなあとも思った。わたし(観客)的には奇麗ちゃんみたいに開演前の作品を悪く言う様は見たくないかなあ。だってこっちはその作品が本当に面白いかわからない状態なわけだし、ただただ「悪い作品」とかいうわけわからんフィルター持たされるだけなので……。とかいいつつ、実際目の当たりにしたら「漏らしちゃうくらいひどいの?大丈夫?どうした?」ってめちゃくちゃ心配すると思う。結局信頼の問題よね…

最後のカーテンコール、客演者たちが普段着で出てくるもんだからてっきり本人役として出てきたのかなと思った。「あ、山崎さん死んだ(というテイ)んだ…」と思ってたらパンフには劇団員と客演者たち、という役だったので山崎さんのご存命が無事に確認できました。めでたしめでたし。……前説の幸村さんはご本人だったのか、「幸村さん役」だったのか「劇団員」だったのか、誰なんでしょう……。

個人的には藤原さん演じる可知さんのスノッブぽさが親近感湧いて好きでした。最後の最後のEDでちょっと踊ってたから、この作品の稽古は順調だったってことですね。とても良きでした。

 

 

酢の物?がずっと壁に張り付いててそのままなの面白いからずるいです……。

去年の→地獄(男〆天魚) 感想 - だいたいうろ覚え

 

7/2ソワレ追記-----

今日見て好きだったところ。

高橋さんが「もちろんあの話嘘です」って言う直前に前髪フーフーしているところ。石井さんと宇野さんが「劇作家の人死んじゃったんだって!」「えー!」ってコソコソ話してるところ(女子高生か?)。石井さんがオナラをする時に使用された上手奥のちっさいスモークがなぜかシリアスなシーンでもスモーク吐き出すところ。イクラちゃんのウィッグをとった後の池田さんの髪の毛。ちーちゃんに舌打ちする佐藤くん。ちーちゃん、回数重ねるたびにじわじわくるな…。あとダンスシーンのセンターでの佐藤くんのポージング。紙吹雪を撒くシーンのやたらうるさい機械音。石井さんへの紙吹雪の余波を受ける可知さんと佐藤くん。

なんかこの脚本の面白さデジャヴだなあって思ってたんだけど、ようやく分かった。「バイクで行くぜ」という小噺をご存知でしょうか。詳しくはググってほしいのですが、「聴き手はこの後の展開を知っている」が「それがミスマッチを起こすことが予見できる」という構造が一緒で、そこが面白いんだなあ。

あとやっぱり言葉選びがすごく上手いよね。最後の「直接言いにきなさいよ、生きてるならさあ!」→死んでる、とか。

明日も見に行く!楽しみ!