だいたいうろ覚え

物忘れが激しくなってきたので備忘録

舞台金魚鉢 感想 ※10/24、27、30追記

※ネタバレを含みます

 

初日

初日おめでとうございます〜!!初、曙橋駅上陸でした!事前のツイキャスで言われていた通り、商店街もあってなんか食べるところには困らなそう…?でも喫茶店は軒並み閉店が早いので夜観に行く方はお気をつけくださいましというところですかね(ドトール16時閉店はびっくりした)

さてさて感想ですが、まず、一回見ただけじゃ感想書くの難しい話だなと思いました。かなり細かいところが複雑に作り込まれていて、一回見ただけじゃ取りこぼしがかなりあると思う。正直2回でも足りるかな?って思う……。話が難しいとか、最後の種明かしが、という意味ではなくて、全員が本音で話していないからです。あと、全員が全員違う立ち位置で、知ってることと知らないことがみんなバラバラだからです。何度心の中で「ちょっと一回止まって!!整理していいですか!?」と声を上げたことか……。戦時下という特殊な状況ということもあり、「口に出していること」「目に見える行動」、「視線などの細かい動き」までもがすべて本音と直結しているわけではありません。とくに関山さんなんかは"分かりやすく複雑"で、最初の柏先生への尋問の時、一回視線を逸らすところも信用を得るためにわざとやってるのかなとも思った。たぶん、山下さんはあの中では分かりやすいほうで、彼の視線とか動揺とかはわりかし本音に近いような気もする。逆に一番分かりにくかったのは吉川さんかなって思ったけど、穿ち過ぎですか!?いろんなものを飲み込んでのああいう雰囲気なのかなと思うけど、あれが全部本当に本音だとしたら逆に怖いかも…。

本音かどうかで言ったら田畑さんと西野さんの関係性もおもしろくて、西野さんって絶対に本音を口にしちゃいけない立ち位置なんですよね、少なくとも第二次世界大戦中は。でも戦死した友人のくだりで、「アイツの分も食べよう」「いや俺は俺の分だけを食べる」の後で田畑さんの肩を叩くのは西野さんの口に出さない本音の部分のような気もして、本音だといいなあって思った。ていうかこの「俺の分だけ食べる」ってどっちの意味なんだろうなあ〜…立場的には「感傷に浸る暇はない」という意味なのかなと思うけど、最後の砂糖のことも加味すると「だからお前も自分の分だけを食べろ(人のことを背負いすぎるな)」という意味にもとれるじゃないですか。。

好きなシーンはいくつかあるんですが、一番印象に残ってるのは停電したところかなあ。あれ本物の炎だろうか。あそこのシーンって、本当のことは言わないけど嘘も言ってないシーンなのかなとも思って見ていました。最後まで見た今となっては関山さんが嘘言ってないのかはちょっと自信ないですが!いやでも本音だと、おもうん、だよな。あそこの演出というかシーンの作り方がうまいと思った。山下さんが声を荒げて自分の意見を言うところはアルコールのせいだけではなくて、あの雰囲気のせいもありますよね。炎って、心を開かせやすくする効果があるんです。だからカルト宗教の洗脳合宿のときにはキャンプファイヤーが使われがちだし、たしかヒトラーの演説のときも焚き火してたんじゃなかったでしたっけ?どっかで聞いた気がしたんだけどソースが見つからないのでわかんないですが…。とにかく、わりと根が素直な山下さんには効果覿面だっただろうなあ。ちなみに他の好きなシーンは関山さんに山下さんが追い詰められるところです。「顔色が悪いぞ」かっこいい。

好きなセリフで言ったら「疑うんですか?」「戦争ですので…」の重みもよかったですよね。とくにそのシーンまでにいろんな疑いを観客側も共有していた(=他人事ではない)から、余計に重かったなあ。あと田畑さんの台詞の「何も知らないで死ぬのは〜」のところも絶妙ですよね……ここもきっと見た人によって意見分かれるかなと思うんですけど、これってつまり「これから皆さんを殺しますよ」って暗に言ってるんですよね……?で、それまで感情を素直に出してきた長塚母が「わたしたちは何も聞いてません」って飲み込む=伝わったってことだと思うんですが、どうなんでしょう?

この90分を経ての新型爆弾のくだりはなんか鳥肌立ちました。それだけ他人事でなくさせられたんだなあ。「暑くなってきたね」のところからもうゾワゾワした。

とりあえず思いつくままに書いて見ましたが、なにぶん基本的にはうろ覚えなのでいろいろ見落としとか記憶違いとかありそう〜……。あと冒頭のところ、一回調べるから文字で欲しい!(笑)田畑さんが持ってたあの紙のなんか赤いやつは何だったんだろう……

席的に見えない部分もあったのが悔しかったなあ……山下さんと西野さんの足音が大きいことしかわからなかったよあの席。時系列がバラバラになってるシーン、今回はちょっとどういう意図なのかわからなかったんですけど、たぶん別の席で見たほうがわかる気がするんですよね……!次観に行くときは席変える!

基本的には、初回は予備知識なしで見る派なんですが、今回のは事前に最低限知識入れて見たほうがいいと思います。知識が足りてないと、そこの部分を理解してる間に余計見落としをしそうだと思った。リーフレットにも簡単にまとめていただいてますが、見た後に「足りない!」とも思うので、もうちょっと調べてから2回目に臨みたいなと思います!レイセンって冷戦じゃなくて零戦か!!!

 

2回目見たら感想追記すると思う

10/24追記

ようやく2回目見れました…!
感想のタグちらほら見てるのですが、セリフ変わったってここかあーってなったり(たしかにわかりやすくなった気がする)一回目見てこう思ったけど違うか!?となったり忙しかった……。山下さんの最初の方の関山さんがってところ若干台詞変わりました?なんか「関山さんは1日遅れます」って言ってた気がして、そんな嘘ついたらあとで絶対バレるだろ〜って思っていた。山下さん、別に共産主義に心酔しているわけじゃないからちょっとややこしいのかもしれないですよね。そっちの方がマシみたいな言い方してるし。Wikipediaみると久津見自体がコミンテルンに懐疑的ぽいしソ連万歳な感じじゃないんですよね……。この辺りのこと詳しくないからなあ、くやしいなあ。「そう思いませんか、思いますよね」って台詞は山下明という人間の甘い部分が透けて見えて好き。
なんかもういろんなことが怪しく思えてきてしまって(笑)本当に海軍が移転を決めたのかとか調べてしまった!ブラフかと思った!あと軍隊と特高って仲悪いんじゃなかったっけ、あれ田畑さんって元々軍隊だったんじゃ…とかとか。検索履歴がどえらいことになりました。ちょっとネットの情報だけじゃよくわかりません!
見れば見るほど「ここはなんで?」っていうところが見つかる、なんて感想を散見しますが、「そこは私はこうだと思ったけどそちらはどう見ましたか!?」って絡みたいのを必死に抑えてます(笑)やっぱり見つけた「なんで?」を考えるのが物語を享受するうえで一番楽しい瞬間ですものね。いや、でも意見交わしてえ……他の人のネタバレありの感想も聞きたい……みんなあれとかそれはどう思ってるんだろう…多分関山さんと山下さんは同じ特高だけど持ってる情報(隠したい情報)が違うっていうところと、山下さんの目的が複数あるぽいのでややこしいのかな?元々は関山さんが疑われてたんですよね、だから山下さんは関山さんを監視する役目で、松代大本営のことを関山さんに隠そうとしていたし田畑さんに協力要請したんだなあって思って見てました。最初にも書いたけど、山下さんは別にソ連好きなわけじゃないから、新型の情報を訂正しようとしたのもソ連のためじゃなくて元を辿れば自分が流した誤情報ということになるから(=ソ連からしたら二重スパイなので処罰される)かなとも思った。

あと、これは疑わないでいてほしいのですが、本当に面白いなあって思ってますし、無理して褒めてるとかはないのでそのまま受け止めてくださいね(笑)
ちょっと脱線するんですが、私は物語について語ることが役者への評価だと思っています。というか、言動に対してある程度の評価はできるけど、演じるということについて明確に評価なんてできなくないですか……?たとえば「今日のあの人の熱量すごいな!」って感じだとしてそれってその人への評価じゃないと思うんです。その熱量を出すまでの他の役者との絡みやセリフ、そしてその日そのときの空気感でその熱量はベストなのかどうか等々。こちらが受け取る感想に起因する要素がありすぎる。これってネガティブな評価も同じで、個々の演技についてこちらが一方的に言えることなんてないと思うんです。だから私は物語について語りたい。どう感じたかとかなにを考えたとか、それはそのまま、そう感じさせた脚本、裏方、役者全員の功績です。本当であれば照明音響含めた制作側ひとりひとりに「ここのここがこうで」って書きたいんですけど、さすがにキリないので(笑)いくつかの場面に絞って書かざるを得ないんですけど、前述の通りそれはその場面に出てる役者だけではなく複合的な力です(そう、これは感想に登場させられなかった役への言い訳の文章だったのです…)演技が良かったかどうかというのは、観客が受け止めたものと演者が伝えたかったものを比べて初めてわかるものではないのでしょうか。そういう意味で、私は観劇は共同作業だなと思っています😊
だからどういう意味であれ脚本はどうでもいいなんて言わないでほしいんだよなあ。脚本も含めて面白かったので、いろんな人にも見て欲しいです。

 

10/27追記

下手、真ん中、ときて念願の上手で見ることができました!!電話まわりがようやく見れた……!あと一回で観るの最後なのですが、そのときは後ろの方から見るって決めてます!
女性陣のなかで一番好きなのはきぬさんかも、と3回目にして思ったり。きぬさんって思い込んだら即行動だから、あまり好きになったことのないタイプだなあとも思うのですが「誰かが声を上げないと」のところがきぬさんの本質って感じで好き。あと家を奪われるって今の私たちの感覚ともきっと違っていて、連絡手段がないから戦地に行った家族が集まる目印=家なんだろうなあ。それを奪われちゃうんだもん、そりゃあ憤るし、弱っちゃうよね……。最後の散らばってる紙切れが自分の生まれ育った場所の地図だと気づくところも好きだなあ。あと和子ちゃんと関山さんの攻防(?)が好き。
そういえばけいちゃんの年齢っていくつくらいなんでしょう?それによってまただいぶ話変わってくるなって思いました。個人的には、話的に西原さんよりもひと回り下くらいなのかな?と思いました。そのくらいの年齢だと思って観たら納得できるところが増えました。
あと初日観てひっかかってた回想?挟むところ!今回ようやく上手だったからゆっくり観れました!(関係ないかもだけど映画でこういう技法があった気がして思い出せないのがくやしい)一回目のキッカケが「北海道?」→弟さんが繋がりのあるとのちに判明する吉川さん登場シーン、2回目が「防空壕」→(防空?)飛行機だからなんとなく入りやすいなあっていうのはこじつけになるかな?村木が撃墜される前に零戦の話もってこなきゃいけないのは分かる。
なんか今回見てたら山下さんが田畑さんにめちゃくちゃ懐いてるように見えて、脳内に出てきたツイキャス版大野さんが「ボーイズラブ…」って言ってきて笑いそうになっちゃったwちがうちがうw観劇後「山下明いつ救われた問題」について話をしていたのだけど、まあ物理的には確実に救われてたよね。大本営のことリークしてたら処刑されてたと思うし(終戦直後の政府には処刑する権限ないか?)交渉係に抜擢されたのは、余罪が少なかった兼人手不足もしくはソ連側からの指名どっちかなのかなー。
全然脈絡ないけど関山さんの一番好きな台詞は「さすがにね」に決定します。以上です。

 

千秋楽追記

17公演本当にお疲れ様でした!
千秋楽は、もう難しいこと考えないでその場で受け取ったものだけ堪能しようと思って頭空っぽにして観劇しました。複数回みると、最初に見た回の印象引きずりがちなので……案の定、改めて発見することも多かったです。バタフライエフェクトみたいに、誰かのちょっとしたニュアンスの変化が全体の大きな変化につながって…みたいなことがあるから、やっぱり演劇って面白いなあ。
結構観客によって意見の分かれている「お前は優秀だから会話を聞いてくれると思った、のはいつやねん問題」ですが、私の最終解答は「浜屋と関山の連絡が途絶えた」のシーンです。今まで見た時はその前の「浜屋を餌にしてスパイを炙り出せ」のところかなって思っていたのですが、今日みたら急にストーンと「あ、ここのことか!」と思いました。国語の問題みたいですけど、山下さんのことを知ってる田畑・西野が2人と連絡が途絶えたというやりとりをするのはおかしいんですよね。それを踏まえて「田畑さんも知ってたんですか」→「お前は優秀だからな」と言う流れ。山下さん的にはけいちゃんのこともあるし、多分関山さんに死なれると困る(これは推測ですが…スパイ容疑の隠れ蓑になりますしね)ということもあるから慌てて出てきたんですかね。「2人はソ連に亡命を?」の言い方がすこしわざとらしかった気がするから特にそう思った。もしかしてソ連側から山下さんにはあまり情報がきてなくて、西野さん経由で情報収集する必要があったのかもしれない。別のシーンでも大防空壕について調べようとする関山さんを止めに山下さんがいいタイミングで入ってくるので、そのときも聞いてたんですね。
バレた後の山下さんの告白と、田畑さんの万歳三唱からの…のところが今日は一段とぐっときたなあ。とくに田畑さん、なんだろう、理屈じゃないんだけど、死を選択するのすごく分かってしまった。日本は負ける、と分かっていつつもいざ負けてしまうとどうしていいか分からないし、これまで信じて歩いてきた道が真逆だったようなものだものね。戦争終わってわーいなんて気持ちじゃないんだよ。後始末のこともあるし、戦時中ということを言い訳にしてやったこと、思ったこともきっとあるわけで、それが急に投げ出されたような感覚でもう本当にどうしていいかわからない。きっと、当時の日本にはこう言う気持ちの人が大勢いたんだろうなあ。時間戻るけど「後始末を頼まれました」のあと吉川さんも染谷さんも「未来の話」をするのがつらかった。

こんなに観客と座組みの距離が近い作品初めてでびっくりしましたけど、ツイキャスも含めて本当に楽しかったです。いやもう……寂しいにつきます笑
遠方に住んでる関係で千秋楽しか来れなかった友人の悔しがる顔を堪能しようと思っていたらまさかの配信決定!!
2回目を見た友人達と感想を話し合うのも楽しみです!