だいたいうろ覚え

物忘れが激しくなってきたので備忘録

カミングアウト 高殿円

この話は五つのカミングアウトを巡る群像劇だ。

自分を捨てたくて別人を装い援交をする少女

ロリータ趣味を隠しているOL

母親でいることに窮屈さを感じている女性(そして不倫未遂をする)

女怖いのを隠してきた男性

夫の定年退職の日に離婚を打ち明けようとしている老女

 

それぞれの物語が説明された後に、最終章で全てをカミングアウトするという、定型ではあるけど読みやすくて面白かった。

作中に出てくる援交とか、不倫とか、なんとなく「悪いもの!」っていう固定概念がどうしてもあるんだけど、そういうのも作中でいうところの「神話」みたいなものなのかなあ。作中で言う神話とは、誰も確かめたことはないのに「そうである」と語り継がれているもののことを指す。うーん、いつかはちゃんと考えないとと思いつつ、嫌悪してしまう……

浮気はもう確定で不誠実じゃん!ってなるけど、結婚って必ずしも同意の継続関係じゃないし、破綻しててもすぐさま離婚してさよならっていうわけにもいかないものだしな。結婚しても「トキメキがないので不倫します!」っていうのは単純に悲しいな…(トキメキが欲しくなるのはわかるし)(結婚の予定が一生ないから好き勝手書く)

とかいいつつ母親の章が結構好きです。この章は「抱いてください」と旦那に打ち明けるところから始まる。まあこの後ビビった旦那に拒否られて不倫未遂をしようとしてしまうのだけど。流れとしては、相手の男性と待ち合わせる→直前に補導された娘(援交をしていた子)を迎えにいく→世の中には神話がたくさんあると言う話を聞く→迎えにきた旦那へ「あなたを、抱いてもいいですか?」と言う感じなんですけど。

この、「抱いてください」からの「抱いてもいいですか」への変容がいいなと思ったのでした。性行為において、女性が「抱かれる側でしかない」ということこそ神話なのだ……と言う話を私は学生時代ゼミで書いているので、解釈合うなと思った笑

と、ここで当時のゼミ誌を読み返したら上記の書き方が弱すぎて全然意味わからん文章だったのでつらくなってしまった……すごい、「強い言葉を使うのが好き!お前らみんなバカ!」みたいな文章だった。ツラい…頭悪……。