だいたいうろ覚え

物忘れが激しくなってきたので備忘録

あっとうてきに愛してる/南無、アイ、ラブズ!! 感想

肺炎てきなアレではないけど体調が悪くて気が滅入ってます……物語を見てる間は気が紛れて良い……

とりあえずテンション上げるために(?)感想書きます。先にこれだけ言っておきます。氷室はずるいってーーー!!(2回目)氷室出てくると絶対に楽しくなってしまう……

あと、南無〜の最後の壺に叫ぶとこで母親から電話きて涙引っ込んでしまって悲しい…

 

本題。

せっかくタイトルに「愛」が入ってるのを続けて見たから、それっぽい感想にしよ。(?)

 

まずは「あっとうてきに愛してる」のほうから。「運命って信じる?」という問いかけが印象的な作品。ケースケはちゃこに一目惚れをし、運命だという。対してちゃこは「そんなことはどうでもよくて、」という。おそらくちゃこは頭で恋愛をするタイプだ。ケースケを好きになった理由を「ただいまって言ってくれたから」と説明してみせるし、どうしてケースケが自分を好いてくれるのか考えたりもする。でも、最終的に「これが運命なんだって」思うことにしたと語ってみせる。

運命ってなんなんでしょうね。

——人間の意志を超越して人に幸、不幸を与える力。また、その力によってめぐってくる幸、不幸のめぐりあわせ。運。「運命のなせる業」「運命をたどる」(goo辞書)

最終的にこの物語はケースケの病気が進行してしまい、結婚式の直前に亡くなってしまって幕が閉じる。これも、運命なんだろうか?これが運命というのなら、ケースケやちゃこが信じた運命とはものすごく悲しくて、ものすごく寂しい。

単刀直入にいうと、私は運命という言葉が嫌いだ。私は私たちの自由意志を信じたいし、運命という言葉に責任を押し付けたくない。それに、運命によって恋に落ちるよりも何億分の1から選ばれて恋に落ちる方がロマンチックじゃあないですか。

「病気とか余命とか関係ありません。そんなことより、私あの人のことあっとうてきに愛してますから」

ちゃこがケースケの母に言った言葉だ。劇中で使われている運命の意味はまさしくこれではないだろうか。他の要因や環境、その他理性的なこと。それら全てと比較して、あっとうてきに愛が勝ってしまってる状態を運命と呼びたい。人間を超越したなにかの意思ではなく、人間の意思が詰まった愛。それを運命と呼ぶのなら、運命を信じた二人も浮かばれる気がする。

診療室、ちゃこの病室、のぞみ先生と編集さんの三組が舞台上で一斉に会話するシーン、すごかったなあ。冒頭の結婚式、のぞみ先生が描いた「あったかもしれないパラレルワールド」なんだろうか?

 

運命を、人間を超越したなにものかの意志の介入と定義し直すなら、「南無、アイ、ラブズ!!」はまさしく運命の話と言えるだろう。なんたって、神、出てますから。

あっとうてきに愛してる、は愛が生まれて、育ち成就して、結婚という形を結ぶまでの流れだが、今作はその恋愛的な愛が別の愛へと昇華する話だ。同様に結婚式直前に亡くなってしまった陽子は"運命"によって薬師寺の恋を成就させる試練を与えられる。そこへ陽子の夫のてっちゃんに恋慕する女が現れ…といった具合に話が進んでいく。薬師寺の想い人には亡き旦那がおり、薬師寺を応援することによって「残された人間の幸せ」を陽子は考え始める。たとえ陽子の姿が見えていても、てっちゃんとはキスもできないし抱きしめることもできないのだから。

なんやかんやあって陽子はその女にてっちゃんを譲ろうと思うわけだが(自ら離れるという結論を出すんじゃなくて、二人のために嘘をついて消えるというのがなんとも健気)(自分の中でも踏ん切りがつかず強制的に消されようとしたのかもしれない)陽子の愛は「死んでしまった」という環境や「てっちゃんの幸せとはなにか」という理性と比較して負けてしまったのだと思う。悪い意味ではなく。適当なことを言うと、姿が見え会話もできるんだから、消えずにそばにいるという選択もありだと思う。でも陽子は「あっとうてきに愛してる」のを辞め、成仏することを選んだ。

ではてっちゃんの方はどうだろう。終盤でてっちゃんは陽子の生まれ変わりと思われる女性と出会う。老いたてっちゃんは独身とも既婚とも明かされないが、陽子(仮)への接し方を見ると、陽子のことを「思い出」として昇華していないのではないだろうか。きっとてっちゃんはずっと陽子のことをあっとうてきに愛しているのではないか。

陽子の選択が間違っているとは思わない。あっとうてきではなくても愛は愛なのだから。ただ、残された人間のことを考えるとなんとも悲しい話に思えてしょうがないのだ。亡くなった愛する人が再び目の前に現れて、再び消えるだなんて。てっちゃんは再び姿を現した陽子の「その後」をしきりに気にしていた。「いつまでも亡くなった人のことを考えていてもその人が浮かばれない」とかよく聞くけど、そんなすぐに切り替えられるはずもないのにね。こちらの「運命」はかなり残酷なもののようだ。

 

余談ですが、岩佐さんがいつもファンコミュニティで使ってるBGM、夏木姐さんの曲だったんだなあ笑