だいたいうろ覚え

物忘れが激しくなってきたので備忘録

書店ガール 碧野圭

昔、池袋サンシャインに入ってる書店に本が割引で売ってるコーナーがあった。学生の頃はそこを何となく眺めて読みたいものがあったら買ってみる、なんてことをしてた。この本も確かそこで買ったはず。今もあのコーナーあるのかな?定位置にはもうなかったけど。

 

書店で働く女性2人を主人公にした本作。2人は正反対で、片や愛されたがり新婚ほやほや若奥様・コネ就職・男性を煽てるのが上手、もう片方は妙齢独身・叩き上げ・上層部に嫌われているタイプ。交互に2人の視点で描かれていて、それぞれの価値観の違いになるほどと考えさせられるつくりになっている。最初はいがみ合っていた2人だが、だんだんと共闘関係になっていく。面白いと思ったのが、2人はお互いの価値観にあまり歩みよらないということ。序盤はもちろん、共闘関係になってからも恋愛主義に変わるでもなし、コネ就職であることに悪びれるでもなし。それぞれの価値観に対して「そういうやり方もあるよね」という認識はうっすら見えるが(後者の主人公が周りの男性を煽ててうまく使ってみたり)基本的には自分のもともと持っていた価値観を中心に据えながらの共闘だ。そういう意味でも、最後に常連の客と恋愛関係ではなく仕事の関係性を結んだのがすごくよかった。

〇〇ガール、なんてタイトルではあるがフェミニズムを強く感じる内容だ。(同時にミサンドリーぽさも若干あるけど)女性同士のいじめが陰険で、なんて描写が序盤にあるが後半実は一番陰険な嫌がらせをしてくるのは男性社員だった、みたいなところは面白かった。

 

書店でバイト経験がある身としてはすごく「わかる!」ところが多くて面白かった。わたしは本を棚の奥まで押し込むタイプの書店員でした。その方が背表紙揃うし……。本に関する描写や、実在する本のタイトルが出てくるなど本好きには楽しい作品だ。

あと、周りの誰が敵なのかわからない感じすごい共感できてお腹がヒュッてなる……。